人が感じる見た目の違い・違和感を
機器で数値化して判断したい・・・工業製品の品質を管理するために
必要なアイテムを考えています

 

 

 

 

 

 

測定する前に1(光源の違い)

人の脳での処理が、周りの明るさや色に「慣れ」させているので、普段は環境光を意識して物体の色を確認している方は少ないと思います。

しかし物体の反射率を測定して色座標を求めるときには光の色によって物体の色も違ってきます。事前にどの標準光源を使って色差を計算するか取り決めておくようにしましょう。

モニター・カメラ・印刷の色管理で使われるツールでは D50、工業製品では D65が使われています。

規定された分光分布表をグラフにして比較してみます。D65は青系の割合が多く、D50では赤系の割合が高いことをわかっていただければと思います。

グラフの色はプリズムで分解したことを想定し、狭い波長単独で、RGB値を出したものです。標準と同じ100%の強度では暗く判別できなかったので400%で計算しました。ピークの狭いレーザーのような光を想定していただければと思います。

400nmや700nm近辺では、強度倍率を上げても明度がなかなか上がりません。

5月に日食があります。可視光線以外の光を遮らない粗悪な器具で太陽を眺めるのはやめましょう。見えない波長領域の光で眼が傷付きます。「見えないから大丈夫」ではなく、眼が感知できないだけです。お気を付けください。

 

測定する前に2(視野角の違い)
狭く見るか、広く見るかで、色のとらえかたが異なるので、2度視野と10度視野が規定されています。

モニター・カメラ・印刷の色管理で使われるツールでは 2度、工業製品では10度が多く使われています。

規定された関数の一つ、Y(λ)を一つのグラフに同時に描いて比べてみました。

大まかに見てみると曲線の形は大きく違わないのですが、比べてみると10度視野のほうが裾野が広くなります。この関数から計算される色差の違いについては、個々の例で確認してみたいと思います。

Y(λ):分光分布を3つの刺激値に変換する等色関数の分布の一つ


測定する前に3(マルチアングル測色機器による角度表記)
45度、25度、75度・・・といった表記がマルチアングル測色機器であります。

略さないで書くと
「45度で観察面へ入射し、正反射光に対し+45(+25、+75)度の角度で受光」です。

 

 

入射した光が45度だと、正反射光は観察面に対し45度で出ます。

 

したがって正反射光に対して45度の角度は、観測面の正面を眺めた位置になります。

 

正反射光に対し25度や15度の角度は、ハイライトとも呼ばれ、 正面で眺めるよりも明るく感じる色が観察されます。
15度はより正反射に近いので25度よりも明るくなります。

 

正反射光に対し75度や110度の角度は、シェードとも呼ばれ、正面で眺めるよりも暗く感じる色が観察されます。

 

私たちの見ているものには、明るいところ・暗いところがありますが、大多数が照明や物の形で影が形作られています。
中にはさらに明暗が強調されたり、色の違う光を放っているような素材もあります。

マルチアングル測色機器は、このような素材の特徴を定量化できます。


 

さらに、近年上市したBYK-macとMA98とMA96では、マイナス15度での測色ができます。
観測面から発せられる、より明るい光の波長成分をとらえることで、プリズムを通した時のような、光輝材の干渉効果によって生じる鮮やかな色成分を確認することができます。

 

観測面から眺めた受光部の模式図(6角度)です。


 

 

 

MA98ではさらに多様な測色が行えます。
・光源の15度入射(45度入射と同受光)
・正反射光に対しねじったような方位(Azimuth)の変化を加えた角度の測色

観測面から眺めた受光部です。

 

 

BYK-macでは粒子の輝きの強さや面積や粒状感を数値化できます。
観測面正面のカメラに3方向(15度、45度、75度)から光を照射して撮影した画像を処理して評価値が算出されます。

 

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