<手がけていること>
・色差判定オリジナルアルゴリズム開発
<目指していること>
・心理量である「色違い」と光学的な「測色」の結びつけ
<ものづくりに貢献したいこと>
・アッセンブリ製品の品質向上
・カラー部品の生産準備トライアル数の低減
・量産開始後、終了後の管理
・遠隔地とデーターで色管理
<振り返り>
1987年から印刷インキの調色や製造ロットの色再現に悩んできました。
その後1990年から2011年まで自動車メーカーで主に塗装技術を担当し、新車や新色を工場の塗装ラインに入れるたびに、バンパーとボディや外装部品の色合わせに試行錯誤を繰り返すさまを体験してきました。
何度も塗りなおしての確認が必要な原因の一つは、色の再現に関する目標設定が不充分だったことでした。
1994年頃、多角度で測る測色計が開発されて、当時工場の技術員をしていた私も「機械で管理できるから目視を止めろ」と言われました。
そのときは、できませんでした。
自分で見ても検査してもらった方の意見を聞いても、機械で出てくるデーターに首をひねってました。
当時を思うと、精度だけでなく、多くの要素が欠けていたと思います。
以降、色差計に対して信用できない想いをずっと持っていましたが、
分光型マルチアングル測色計を自分で評価する機会に恵まれてから、出てくる数値の使いこなし方を考えるようになりました。
測色をしても、得られる値が目視の感覚と違うことも多く、
特にマルチアングル測色機では、角度が多くて難解になるので、傾向管理になってしまいました。
許容範囲が塗装色の種類や部品別に違うのですから・・・
自動車用塗料で主に使われているパールやメタリック塗色では、⊿E<0.3でも目視でNGだったり、逆に⊿E>5でも差を感じない例もあり、測色結果は参考にしかなりませんでした。
マルチアングル測色をしても、さらに⊿Eとのギャップが広がり、⊿E>20でも目視OKのケースも存在しました。
それからずっと色差の感じ方に何かルールやパターンがあるのでは思っていましたが、4年ほど前に研究する機会をあたえてもらいました。
少し回り道をして、人間の脳での認識のしくみや、図形認識や立体視や錯視現象との関連を調べたりしてみました。
紆余曲折あったのですが、最終的に整理するとすっきりした結論になりました。
考えた仮説を、マルチアングル測色機で取っていた生産ラインの測色データーと、目視による検査結果と照合して体系化することができ、自動車用塗色の評価に適用してもらえるようになりました。
人間の感覚に関する研究は近年目覚しく進んできていて、日々新しい気づきがあります。
測色結果の意味をとらえるには、前提条件の補足が必要だと考えています。
さらに色差が観察される現象を心理学的にとらえなおしてみると、感覚と数値が違う理由が判ってくると感じています。
今後多くの事例に出会って汎用的なアルゴリズムを作れるようになりたいと思い、このサイトを作りました。
ここまで読んでくださった皆様が今抱えている、カラーマッチングの悩みが少しでも解消してくれたらと願っています。
若井宏平