カテゴリー別アーカイブ: 色差・違和感を感じるもの

北鎌倉の洞窟と色彩学会秋の大会

鎌倉でも秋が深まり、すこしづつ周りの緑が黄色や赤に変わってきました。20141110a

生理的にどのような現象なのかはとても興味があるのですが、北鎌倉駅周辺は樹々と古い建物が調和して落ち着く場所なのだと言えると思います。
休日になると多くの方が降りて「いいところだね」とおっしゃってくださるので嬉しいです。

この場所に住み始めて12年経ちますが、嫌な事があっても、街中の騒々しさに疲れても、ホームに降りて改札を出て、小さな素掘りの洞を潜って線路沿いの路地を2〜3分歩くうちに癒されてくるのです。

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しかし今年になってから、不穏なことが起きています。
この駅のホーム沿いの小さな洞山が、崩壊の危険があるということで、市が破壊して開削工事を断行し、しかも道路を4mに拡張すると伝えられました。

市側が作成した完成予想図を見る限り、標準的な工事です。
工事後は、この路地とトンネルが「どこにでもある風景」に成り果ててしまいます。

完成イメージ(開削工法)0001

愕然としました。
壊してからでは遅いと思います。

私の所属している日本色彩学会「美しい日本の色彩環境を創る研究会」でも、問題提起をさせていただきました。
参加いただいた20名以上の方から署名もいただき、感謝しております。
研究発表や論議の中で、人が感じる美しさは地域環境の要因もあり価値観が一様ではないこともわかりました。しかしここ鎌倉で既に長い間保たれ、多くの方に愛着を感じられているものを、一様な規格のもとコンクリートで覆う風景に作り替えていくことに私は抵抗したいと思います。

色彩学会秋の大会の初日には、静岡県の清水港の色彩計画について学ばせていただきました。
この行政と企業が一体となった人口景観作りは成功例の一つだと思います。豪華客船も入港し経済振興効果が出ているとのことです。
お話を伺った後港内を水上バスで巡り、港の周囲の建物の塗り替え状況を拝見させていただきました。

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当日は晴天で背景の富士山が美しく、自然のままだったらどんなに素晴らしい景色だったのだろう・・と思い巡ってしまいました。
塗り替えで違和感は確かに少なくなっていますが、一部は無神経な色彩が残っている構造物もあり、雑然とした印象も一部に残っていました。
産業として工場や港や倉庫が必要なことはわかります。でも作る際に目先のことだけ考えずに、全体の景観を海から見たり山の上から見たりといった視点で、考えて建設してほしかったです。

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一度無神経に壊したものは、簡単に建りなおせないし、塗り直しても元にもどるものではないのでだと、つくづく思いました。
黄色や赤が入った方が元気が出て良いという意見もあるとのことですが、
富士山あっての清水港で、私は富士山と海のきらめきと周りの森と山を複雑な気分で眺めていました。

 

保存運動にご賛同くださる方、署名をお寄せいただけましたら幸いです。
北鎌倉史跡研究会のブログはこちらです。

http://kitakamashiseki.blog.fc2.com

署名用紙は右のアドレスからダウンロードください yahoo.jp/box/QAroKF

紫陽花の季節です

北鎌倉では、いい感じで咲いてきました
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ビワも実っていました
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先週末、視知覚の勉強のため、愛知県岡崎市まで行ってきました。
新幹線の新富士周辺から見える富士山が今日は奇麗に見えました。
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岡崎といえば・・・・人気者です。
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街中には風情のある古い建物がポツリポツリと残っていたり
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と思えばお城の裏にタワーマンションが建っていたりと、いろいろと事情はあるのでしょうが
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公園内の欄干と電車が、なんか関連しているように、私の脳では感じてしまいました。

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桜が咲きました

近所の桜が満開になりました。

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この色彩は何か情感がわいてきます。
また今年も見れてよかった、と思って涙もろくなったりします。

心理的な現象はさておき、
落ちた花びらの分光反射率を測ってみます。

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特定のピークの吸収が強いことがつぼみが紅に見える理由で
花が開いて膜が薄くなり光を透過しやすくなると、白に見える
物理的には、ただそれだけのことで、同じ物体なのです。

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しかし、人間の眼ではそう見えず「おはなし」を、造ってしまうのでしょうか
共感する人、しない人、見た事が無い人、それぞれ・・・

文化会館のイス

ピアノリサイタルに行ってきました

ちょっと仰天したのが、客席シートの色がバラバラなこと・・・
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何か真っ赤なイスと薄赤のイスの違いに、意味を持たせたのだろうかと、一瞬考えてしまいました。 (子供のころ、シルバーシートが出来たときに、これはお年寄り向けに特別に座り心地を良くした椅子ではないか?と勘違いしてたことを思い出しました)

よく見ると、真っ赤な椅子は擦り切れている部分もあり、薄赤のほうは張り替えられたものなのだ、ということがわかりました。

予算がなくて、全部を張り替えられなかったことが想像できますが、古いホールなりに改装し一部は綺麗になっているし、音響も悪くは無かったのですが、非常口の扉の札も旧態依然でちょっと苦笑してしまいました。
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都心の新しく建てられた綺麗なホールとの格差、頭隠して尻隠さずという意識、情けない気分になりました。

肝心のリサイタルのほうですが、凄まじい技術を持つ身体能力の高いピアニストで、持っている音色も素晴らしい。特にリストの「メフィスト・ワルツ」は「これでもか!」というくらいすごかったです。
しかし、肉食系男子の匂いが強すぎて、先日のハイドシェックさんのようなカタルシスを感じることはなく、聞き終わって疲労が残りました。
客席はそのテクニックに拍手喝采、ブラボー連発だったんですけど・・・
若い頃のリストはこんな風にエネルギッシュな演奏で喝采を浴びていたのでしょうかね