認識パターン・・音楽による表現とモーターショーの続き

2013113011/30は東京文化会館で行われた、ヴァイオリニストの小林武史さんのリサイタルを聴いてきました。
表現者として極められた小林さんが作り出す、弓の幅を全部使い切って弾ききる堂々として圧倒的な音が好きで、生音を聴くのをとても楽しみにしていました。

思い込みによる先入観念は怖いものです。
楽譜の想定を超えた音の表現、音程を超えた微分音や拍、超絶技巧を超えた刺激・・多彩な表現が尽くされていました。
私の稚拙な先入観念から構成された認識パターンを超えた、新たな素晴らしい音楽体験でした。

 

12/1は、同じく「孤高の」という表現がつくことが多い、ピアニストのエリック・ハイドシェックさんのリサイタルを聴いてきました。
どのような流れを表現していくのだろうと思っていましたが、予測を超える斬新なプログラムと音楽表現で昨日に引き続き素晴らしい時間を過ごしました。

20131201ピアニストに言わせると、ハイドシェックさんの弾き方は小手先で真似しては大怪我をするらしいです。
音楽で「らしさ」を抽出し、認識して真似ようとしても、数多くの表現方法を持っているアーティストのごく一部の特徴をとらえ、断片的に真似るだけになりがちなのかなと思ったりします。

コピーしたくて情報を抽出しても、取り込めた特徴量は一部だけで、何かが足りなかった、その際に勘違いしたメソッドだけが一人歩きして、違うものが作られていった・・・という悲劇がいくたびか起きたのではないかなと、想像してしまいます。

「らしさ」が支配すると、聴き手側が自分の認識パターンに縛られ、お決まりの型を要求し、期待が外れるとがっかりしたり、ひどい場合はけなしたりするようになってしまうことに、恐怖を感じます。私もうっかりその思考パターンに陥る所でした。

新たな気づきを二人の偉大なアーティストが与えてくれました。良い日を過ごす事ができました。ありがとうございます。

 

以下、モーターショーの続きになります。

個人的に気になった展示車の一つが、日産のIDxでした。
やっと、認識パターンという定義と結びつけて考える事で、このデザインに惹かれる自分に納得することができました。
個々に見ると新しい要素がたくさんあるのですが、どうも自分の中にある既視感に縛られているようです。

形はともかくとして、この日産IDxのカジュアルタイプに塗られた色が凄かったです。
しかし、帰ってきてがっかり・・・うまく写真に撮れていませんでした。
現物を見ているときには、ライトブラウン〜イエローゴールドへの変化にぞくぞくしましたが、残っていた写真はただの黄色でした。RAW形式で撮影しておけば再現しやすかったかもしれません。
極めてあいまいな記憶による、PhotoShopによる修正写真も並べておきますが、これでもまだ違う感じがします。
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なお、配布しているパンフレットを見てみたら、のっぺりしたライトブラウンに見えました。
すこしでもイメージを再現できるように、撮影や印刷はもうちょっとがんばってほしかったです。